

日蓮宗霊断師会会長 草野法界のことばを掲載します。

日蓮宗霊断師会会長
草野法界
慣れ
「習うより慣れよ」といいます。
人に教わったり、本を読んだりしただけでは、物事を本当に身につけることは難しいけれども、実際に経験して、体で覚えたことは、しっかりと自分のものになる、ということです。
何かを習得したいと思ったならば、実地に繰り返し経験を積むことによって、それが日常の当たり前のことになり、上手になるというわけです。
「稽古事」とか「習い事」と呼ばれる伝統芸能などは、特にそうしたことがあるようです。
「ならい」は「習い」であり、「倣い」であり、「慣い」である、ということでしょうか。
仏教には「戒」という教えがあります。習慣性という意味だそうです。
例えば、不殺生戒という戒は、殺生を禁止するのではなく、殺生をしないようにすることを習慣として身に付けることなのだとか。良い習慣をつけるには、努力、そして、その努力をする誓いが必要で、この誓いの心のこそが戒なのです。
しかしまた「慣れ」ほど怖いものはありません。習い性になって、自然と体が動くようになると、そこに油断が生じ、真剣さや集中力が失われることがあります。
創祖は、読経の際、常に経本に眼を注ぐべきことを指導しておられました。お経を暗誦すると、口だけが動いて、別のことを考えたりしてしまうことがあるので、それを戒められたのです。
まず習慣とする。そして慣れすぎない。信仰生活もまたかくあるべきものといえましょう。