紙上法話

コロナ禍を忘れさせる「母の大恩」

お寺に鳴り響いた一本の電話…


 コロナ禍、緊急事態宣言下においても季節は流れ、正月・立春・彼岸と、時は過ぎていきます。「一月往(いちげつ)ぬる二月逃(にげつに)げる三月去(さんげつさ)る」とことわざにもある通りと実感しております。気が付けば、コロナ流行から一年。これまで何とか生活できたことに感謝しています。


こんな世情の中、島根県にある私のお寺でも「母の大恩」を感じたことがありました。


昨年の秋、お寺に一本の電話がありました。「お上人、ご相談がありますが、いつ東京へおいでになりますか?」新潟育ち東京在住の女性の聖徒さんからでした。


通常であれば東京へ出張していた私でしたが、コロナ禍によって全ての行事が中止となり、東京へ行く用事がなくなったのです。


「東京へ行く予定はなくなりましたが、もしよろしければ島根のお寺に来ますか?」と尋ねると、GOTOキャンペーンが行われていたこともあり、「前向きに検討します」との返事でした。


仕事の事情や、同行する妹さんの予定、待ち合わせなどの都合を加味して、11月末に姉妹で参詣することが決定したのです。


姉妹が島根県のお寺に到着すると早速ご相談。どうしても九識霊断法・お題目の救いを願っての参詣でした。開口一番、「新潟にいる母の眼が悪くなってしまった。何とか救って欲しいのです」とのこと。その後は、子供たちの将来。特に受験についての相談でした。娘として、母としての立場で感じる不安を、九識霊断法でご指導させていただきました。


便利な時代になり、ご相談の途中、新潟のお母さまともスマホで会話。さらに信頼を深められました。


家族関係にひびが入っている家庭も少なくない中、お題目に縁あったご家族には、どんなに距離があったとしても、いつもそばにいるように寄り添う家族愛に満ちていました。
これも新潟のお母さまから受け継いだお題目信仰の現れであり「母の大恩」に報いる美しい親子愛を目の当たりにして、コロナ禍の困難な世界情勢を忘れさせてくれました。

 

仏さまのような慈悲心
家族愛と清らかな浄土

 「又衆生の心けがるれば土もけがれ、心清ければ土も清しとて、浄土と云(い)ひ穢土(えど)と云ふも土に二の隔(へだて)なし。只我等が心の善悪によると見えたり。衆生と云ふも仏と云ふも亦此(またかく)の如し。迷ふ時は衆生と名(なづ)け、悟る時をば仏と名けたり。譬(たと)へば闇鏡(あんきょう)も磨きぬれば玉と見ゆるが如し。只今も一念無明の迷心は磨かざる鏡なり。是(これ)を磨かば必ず法性真如(ほっしょうしんにょ)の明鏡と成るべし。深く信心を発して日夜朝暮に又懈(おこた)らず磨くべし。何様(いかよう)にしてか磨くべき。只南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを、是をみがくとは云ふなり。」『一生成仏鈔』


困難な状況にある時、悪い結果ばかりを考えて否定的になって何もしないのでは何も改善されません。


従来のやり方を見直して、心を清く保ち、正面から取り組むことで浄土とも成り得るのです。ソーシャルディスタンスによって交流に制限がありますが、家族の絆が強くなったり、他者を思いやる心を養うこともできるようになりました。


「只、南無妙法蓮華経と唱えたてまつるを是を磨くとは云うなり」とご指導いただいているように、いつも倶生霊神符を着帯してお題目をお唱えし、穢れた心を磨いて、仏さまのように慈悲の心で他者と触れ合うことが大切です。


親子の愛情のような心で他人と交じり合い、皆で仏さまがいらっしゃるような浄土を築いていける日が訪れることを待ち望んでいます。

-紙上法話

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