紙上法話

縁ある人に霊神符を〜棚経での雑談から〜

 棚経で深める檀信徒さんとのご縁


 お彼岸やお盆は、一年の中でも最も多くの檀信徒のお宅に伺う時節です。盛運祈願会や年間行事に足を運んで頂けない方にもお会いできますし、夏休みなどでタイミングが合えば、帰省されたお子さんやお孫さんにお会いすることもありますので、私自身楽しみにしています。

もちろん、ご家族のみなさんと一緒にお経を読み、お題目をお唱えして、各家のご先祖さまをご供養することが本来の目的であり、肝腎要なことですが、檀信徒の皆さんや、そのご関係者ではあってもお題目のご信心をお持ちではない方とコミュニケーションを持ち、ご縁を深める大切な時間であると考えています。

読経が終わり挨拶をしただけで、お話もせずにおいとましたのではもったいないと感じてしまいます。タイトなスケジュールの中、全てのお宅でゆっくりお話をすることは難しいですし、疲れてくると、ご回向をすませて早くお寺に戻りたいと思ってしまうこともないわけではないのですが、せっかくの機会ですので、少しでも檀信徒の方々の近況を伺ったりするように心がけております。

ご供養のあとにお話をしておりますと、お悩みごとや厄介ごとについてお話しいただくことがあります。ご体調のこと、お仕事のこと、ご家族のこと、お子さんやお孫さんの受験のこと…。でも、それは大抵、茶飲み話の延長であり、心配ごとの対処の仕方をお寺に相談される、というものではありません。私の自坊は、先代住職が創祖の直の薫陶を受け、長年に亘り九識霊断法によって檀信徒の皆さんからのご相談に預かって来ているのですが、それでも、こんな時の話から、困りごとの解決を求めて、お寺に祈願を依頼されたり、霊断を求められたり、ということは多くはありません。

そこで私は、棚経に伺う際に、倶生霊神符と「聖徒タイムズ」を持ち歩くようにしています。

倶生霊神符を差し上げて

  数年前の8月初旬、ある檀家さんのお宅にお経に訪れた時のことです。名無しの権兵衛さんもなんですから、仮に塩田さんとしましょう。年の頃70歳ほどの塩田さんが「この年になってだが、なるべく健康でもっと長生きがしたいと思うようになった」と仰いました。

「塩田さん、倶生霊神符って知ってる?たまにお寺からの郵送物で案内が入ってたでしょ?」と申し上げても、「いや知らん」と塩田さん。

私が「あらそう?もしよければこのお護りを持ってみたらどうですか?このお護りを肌身離さず身に着けて、毎朝お勤めの時に『健康に過ごせますように』とお祈りするとご守護をいただけますよ。今日は8月のお護りを渡しますから、試しに着帯してみてください。しばらくお寺から送って差し上げますよ」。

「本当?まぁお上人さんがそういうなら。ありがたく頂戴しますよ」

そして私は、帰り際に「あと、この新聞にはお護りのことやご加護をいただいた人の話が書いてあるから、時間があったら読んでみてくださいね」と言って「聖徒タイムズ」を手渡しました。

それから2ヵ月ほど経ち、秋のお彼岸が過ぎた頃、塩田さんから電話がありました。

「いつまでも頂きっぱなしじゃ申し訳ないし、お上人さんの言う通り、お護りをいただいてから調子も良いので、これからはお守りのお布施を送りますね」

以来、塩田さんは、ずっと倶生霊神符を着帯されています。

霊神符のご守護を実感して、お題目の信仰を深める方が一人でも増えると、霊断師になって良かったと、心から思います。

お寺さんはそれが仕事だから、なんて仰らないでください。

誓って南無妙法蓮華経の道を持ち奉らん。誓って南無妙法蓮華経の道を行い奉らん。誓って南無妙法蓮華経の道を護り奉らん。誓って南無妙法蓮華経の道を弘め奉らん。

毎日、皆さんもご本尊さまにお誓いされていることと存じます。

縁ある方に霊神符を差し上げ、その方が身に着けるようになることは、まさにお題目を弘めることそのものです。是非、誰かに差し上げるための、もう一体の倶生霊神符、もう一部の「聖徒タイムズ」をお手許に置いてください。

もう一体の霊神符、もう一部の「タイムズ」が、どなたかの力になる時、それは、皆さんがより一層幸福になる時ともなりましょう。

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