令和7年の法話 今月の法話

今月の法話(令和7年8月)


三大秘法さんだいひほうたい如何いかん
こたへてわく、己心こしん大事だいじこれかず。

『三大秘法禀承事』弘安四年。聖祖六十歳(四八七頁)

予が己心の大事

日蓮大聖人の佛教の肝腎要は三大秘法です。「予が己心の大事、之に如かず」とは何と強いお言葉でしょうか。
 三大秘法とは本門の題目、本門の本尊、本門の戒壇です。三大秘法は全て南無妙法蓮華経の七字なのですが、
本門の題目……口業……初信……いのり
本門の本尊……意業……中信……さとり
本門の戒壇……身業……終信……おこない
という関係にあります。
三大秘法は、同時に実践するものではあるのですけれども、それには自ずから順序があり、大聖人の弘教もその次第に則られました。
 先ず、題目の信唱による祈りを入り口とします。所願成就の祈りです。真の題目の祈りがあれば、霊験神秘の御守護が必ずあります。この神秘を体験することによって、信心を確立し、安心立命するのです。次に本尊を信解するさとりの段階があります。自然も人生も共に寿量佛の大曼荼羅界であるということを信観することによって、自受法楽の至境が開かれます。これが即身成佛のさとりです。題目の祈りと覚りを得れば、自ずからそれが行いにつながります。寿量御本佛の大慈大悲を受け継ぐ実践です。一切衆生を佛とするという、寿量佛の悲願の相続であり、これが戒壇の信証です。
佛教は、佛の教えであり、佛となる教えです。
 ところが、日蓮大聖人以前、佛教が佛となる教えであることは忘れられて来たと申し上げて過言ではありません。釈尊の滅後、初期の原始佛教教団に於いて、既に佛となることは、その難しさ故に、諦められてしまったのです。
法華経は、悉皆成佛の釈尊の大理想を説き直しました。中国の天台大師は、法華経から、一念三千という法門を導き出し、一切の衆生が成佛する可能性を理論的に示しました。そして、一切の衆生が成佛する教えを実践宗教と完成されたのが、日蓮大聖人でした。
 その成佛の方法こそが、三大秘法です。さればこそ、「予が己心の大事、之に如かず」なのです。大聖人と異体同心し、この「己心の大事」を相続する者こそが、私たち聖徒であり、聖徒団なのです。

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