紙上法話

夫婦で歩く仏さまの道

少子化に向かう世界



 皆さまもご存じの通り、日本は少子化が進んでいます。
 今年の世界の人口は、国連人口基金(UNFPA)によると約82億3200万人と推定されており、昨年から1億1300万人の増加と見込まれています。つまり、世界人口は現在も増加傾向にあるのですが、実は、世界の年間出生数は2016年の1億4200万人をピークに減少傾向に転じており、2021年には約1億2900万人であったと推計されています。
 出生率の低下は、社会経済の発展に伴う世界的な傾向であり、女性の社会進出、バース・コントロールの普及、経済的な負担、伝統的家族観の変化など、さまざまな原因が指摘されています。
 特に日本は、世界でも特に出生数が低下している国の一つで、第二次ベビーブームと呼ばれた昭和48年に209万人を数えて以降、ほぼ一貫して減少を続けており、昨年は、68万人6061人でした。
 しかし、こどもを望まない人が多くなったというよりは、こどもを生み育てる条件が整わないということではないでしょうか。
 一概に人口が多いことを是とすることはできませんけれども、次の世代を担ういのちが生まれなくなってしまったのでは、人類は滅亡してしまいます。150年後には日本に住む日本人がいなくなるという恐ろしい推計まであるそうです。子どもを生み育てることがしやすい社会を目指して行くことは、不変の目標なのではないかと思います。

噛み合っていなかった心


 さて、統計の数字だけでは表せない、一人ひとりの深い想いや切実な願いがあることを私たちは忘れてはなりません。
 先日、霊断のご相談に来られたのは、40代前半のご夫婦でした。
 「現在は2歳の長男と3人で暮らしています。もう1人子どもが欲しいのですが、なかなか授かりません。どうしたらよいでしょうか。」
 夫人の声には、切実な想いが込められていました。医療機関での検査も受けられたそうですが、特に問題はなかったとのこと。年齢的な焦りもあり、このままでは諦めなければならないのではないかという不安が日々大きくなっていると仰います。
九識霊断法でお伺いをして、私は次のようにお話ししました。
 「心配なさらなくても大丈夫です。でも、ご夫婦でもう一度、次のお子さまについてじっくりと話し合ってみてください。そして、お二人とも体調管理と生活習慣の改善に努め、誠心誠意お題目修行に励み、ご祈願なさること。そうすれば、きっと半年以内に授かりますよ。」
 霊断には、いまは夫婦の心や考え方に距離があること、健康な身体づくりと、そして信仰による心の浄化をすれば、子が授かるであろうことが示されていたのでした。
 すると夫君が口を開きました。「実は、ボクは子どもは長男1人で十分だと思っているのです。経済的な心配もありますし、この際ですから申しますと、家内は今でも家事が行き届いていませんから、体力的にもこれ以上の負担は無理だと思うのです」。
 これを聞いた夫人は、「長男の世話で精一杯で、家事が思うようにできないのは本当です。もう少し夫に家事や育児を手伝って欲しいと思っているのですが、なかなか言い出せなくて…」。
 どうやら、このご夫婦は、お互いに相手の気持ちを察していながらも、話し合うことを避けてきてしまったようでした。
 霊断を切っ掛けに、普段は言えずにいた思いを素直にぶつけ合うことで、お互いの気持ちを理解し合うことができたのです。ご主人は奥さまの頑張りを改めて認識し、より積極的に家事や育児に参加することを約束されました。奥さまも、完璧を求めすぎず、夫婦で協力して家庭を築いていくことの大切さを実感されたのです。
 時には思うようにいかない日もありましたが、お2人は仏さまのお示しを信じて、着実に歩みを続けられました。
 そして霊断から半年余り経った頃、「お蔭さまで赤ちゃんを授かりました」というお知らせをいただき、ご夫婦と共に喜びのお題目をお唱えすることができました。
 その後、無事に元気な女の子が誕生し、現在は4人家族として幸せに暮らしていらっしゃいます。
 ちょっとした行き違いやタイミングのズレが、私たちの幸福への道の障碍となっていることがあります。これを乗り越えさせてくださるのが、九識霊断法による導きです。何か困ったことがあったら、迷わずに霊断の光を求めてください。

-紙上法話

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