紙上法話

苦悩に寄り添う 法華経・お題目のおちから

倶生霊神と施餓鬼供養


私がお守りさせていただいている長崎県妙寿寺では、毎朝六時から御信者様と一緒にお勤めをいたします。お勤めが終わると今度は車で15分のところに法宣寺というお寺がございます。そこでも代務住職として毎朝の勤行を行いますが、自坊と同じように熱心なお檀家さまが毎朝一緒にお勤めをいたします。

 5年ほど前になりますが、その日もいつものようにお勤めが終わり自坊に戻った頃、代務先のお檀家さまから電話がかかってきました。

 「実は私の妹の旦那が脳梗塞で倒れて集中治療室で治療を受けているのですが、病状が重く改善する気配がなくて妹はとても心配しています。兄である私も心配です。すぐにでも妹を行かせますので、霊断で病気のことを見ていただけませんでしょうか」とのことでした。

 翌日には妹さんがお寺にお見えになり事情をお聞きいたしました。ご主人が入院されて半月ほどが経過していたようです。これまでの既往歴をお聞きしますと、怪我や交通事故それに伴う手術など不慮の災難に見舞われていたとのこと。

 早速、九識霊断法を用いてご本人様の病状の成り行きを仏さまにお伺いいたしますと、親しい方が不慮の事故でお亡くなりになっていることがわかりました。水子の存在もあるようです。早速水子の位牌をお作りしになること、お亡くなりのお方と水子さんの卒塔婆を立てての施餓鬼供養をお勧めいたしました。

 それからご親族のお墓に問題があることがわかり、近所の石塔店にお願いしてお墓を修復していただきました。お施餓鬼供養は自坊と代務先のお寺でも執り行っていますが、今回は代務先のお寺にて施餓鬼供養を執り行うことといたしました。

 また霊断翌日から二十一日間お寺においでいただき一緒にお題目修行でご主人さまの当病平癒の祈願をいたしました。

 二十日目の朝、おいでになられた時、残り一日の修行をお伝えしますと、「ご主人が集中治療室から出てくるまで心配だから、それまでは朝のお勤めに参加させてください」とのお申し出がございました。

 私も「心配でしょうからいつでもおいでください」と申し上げました。

翌日二十一日目の朝、来寺なさった時、昨日お寺のお勤めの後自宅に戻った頃、病院から連絡があり、一般病棟に移ることができるとの報告を受けたそうです。その日のお勤めの後、病院に行ってまいりますとのことでした。

 二十一日間の修行も無事に終わり、半月ほどして朝のお勤めの時に再びお越しになり、ご主人は退院してリハビリの病院を探すこととなったそうです。入院中は寝たきりで痰が喉にからまり呼吸が難しいということで、喉に管を通す心配もあったそうですが、幸い手術をするまでに至らずすみました。

 子供さんたちもそれぞれが役割を担い家業の手伝い、通院や家事の手伝いに今まで以上に協力的だったそうです。子供さんたちが一生懸命になってくれることが大変うれしかったそうです。

 家族の支えとお題目の祈り


私たちの住むこの娑婆世界は諸々の患いごとや悩みが多いところだとお釈迦さまはおっしゃっています。また、それらの苦しみに手を差し伸べることのできる者はお釈迦さまの他にはいらっしゃらないとも言われます。

人は災難にあった時、自分や家族はこれからどうなって行くのだろうかと不安に悩まされます。それは他人事ではなく私たちの身近に起こりうることかもしれません。今回のご主

人さまも法華経お題目のお力添えをいただくことで苦しみや悩みを乗り越え、ご家族全体の絆が一層強くなったことは大変喜ばしいことでした。

自坊では毎月一日に、代務のお寺では二日に盛運祈願会を執り行っています。聖徒団の皆さまは信心の証として倶生霊神符を着帯し、御守護を毎月いただかれることを切にお祈りいたします。

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