聖徒団信仰Q&A

聖徒団信仰Q&A〈第51回〉 三界

質問ちゃん
問 「三界は安きことなし、なお火宅の如し」というお経文を聞きました。三界とは何ですか?(北海道 70代 女性)
お答え上人
三界(さんがい)は、私たち衆生の世界のすべてである欲界(よくかい)、色界(しきかい)、無色界(むしきかい)の三つの界のことです。
 欲界は三界の中でも最も低級な界で、食欲や性欲や睡眠欲などの欲望がある世界です。地獄界から人間界、そして天上界の一部、四天王のいる四天王衆天、弥勒菩薩の兜率天(とそつてん)、「人間五十年、化天のうちを比ぶれば…」で知られる化他自在天などの六欲天も含まれます。
 色界は、感覚的欲望はありませんが、肉体と物質がある世界です。欲望の支配から離れた清浄なる境界で、比較的上級の神々の世界ですが、いまだ物質の制約を受けます。天上界の中の梵天や福生天など十八の天がここに含まれます。
 無色界は、肉体的・物質的なもののない、精神的なものだけからなる界です。色(しき)(=物質)がないので無色界と言います。静謐なる純粋精神の世界で、空無辺処(くうむへんしょ)、識無辺処(しきむへんしょ)、無所有処(むしょうしょ)、非想非非想処(ひそうひひそうしょ)の四天で構成されます。非想非非想処を有頂天(うちょうてん)とも言います。嬉しさなどのあまり我を忘れる状態を「有頂天」と言うのは、この天が最高の天だからです。
つまり、三界とは、六道を別の観点から区分した、輪廻する迷界の異名です。具体的な空間をイメージしてしまいますが、本来的には場所を意味する概念ではなく、人間の心の状態についての考え方でした。
 さて、冒頭の経文は法華経譬喩品の一節で、「私たちが住んでいる三界は火事の家のようであり、苦しみが充満している」の謂いです。もう少し先に「今此三界 皆是我有 其中衆生 悉是吾子 而今此処 多諸患難 唯我一人 能為救護(今この三界はみなこれ我が《釈尊の》ものであり、その中に衆生はみな我が子である。いま此処は、患難が多く、私一人が救護することができる)」と仏の救いが説かれています。
聖徒団首導髙佐日瑞猊下が貫首をされておられる本山大野山本遠寺には、一遍首題の左右に右の経文が記された「今此三界の御本尊」が恪護されています。

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