令和7年の月訓 首導月訓

首導月訓(令和7年7月)

◆この世の全ては、佛界から生まれている。佛界とは、完全なる理想世界であり、不可思議境であり、本体佛である。私たちの世界は、その命の現れであるが、未完成、発展途上である。

◆佛界が完全な理想世界であるとは、常楽我浄の四徳波羅蜜を具足しているということである。常は不滅生命、楽は安楽生活、我は自主自由、浄は清浄国土のことである。私たちの世界が、未完成、発展途上であるとは、全人類のあらゆる営みは、四徳波羅蜜を目標にしているということである。

◆人類の大半は、その意味を知らず、ただ闇雲に四徳波羅蜜を求めている。しかし、これは生まれる以前から約束されている生命の実体である。未完成であっても、四徳波羅蜜が私たちの生命の本質なのである。だが、私たちの本質が四徳波羅蜜であっても、それを生活の上に享受することが出来なければ宝の持ち腐れである。人類の文化が、共同作業を続けて行った先に、理想世界に到達するのは果たしていつのことであろうか。

◆理想世界に到達する途上でこの世に生命を現した私たちは、四徳波羅蜜の理想を受け取ることが出来ず、中途半端なままで死んで行くことになる。この問題を解決したのが佛教である。解脱とは、私たちの世界がまだ理想世界に至らぬ以前に於いて、理想の境地を獲得することをいう。それを智慧の力で得る道を開かれたのが釈尊であったが、これは万人の道ではなかった。

◆四徳波羅蜜を信によって捕捉する万人の為の信解脱の道を開かれたのが日蓮大聖人である。日蓮佛教は、四徳波羅蜜を彼岸に仰ぐのではなく、現世に招来する信仰である。南無妙法蓮華経の道の画期的なる所以である。ゆえに、日蓮佛教は、人類の生活の不可欠の道であり、人生の光明なのである。

日蓮宗聖徒団首導 髙佐日瑞

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