首導月訓 令和2年の月訓

首導月訓(令和2年7月)

◆ウイルスは生物ではない、というのが現在の常識であるらしい。生物とは「細胞を基本構造とし、自己複製できるもの」と定義されているからである。ウイルスは、宿主の細胞内に入り込み、細胞のエネルギーや、細胞の代謝系を用いて自身の構成成分を複製する。単独では「自己複製」できないのである。

◆レトロウイルスと呼ばれるウイルスがある。通常のウイルスはRNAを複製するのみであるが、このウイルスは逆転写酵素を持つことによって、DNAに変換され、宿主の細胞中のDNAに入り込む。有名なのはHIV(エイズ)ウイルスである。

◆1億5千万年~1億年ほど前、白亜紀の原初的な哺乳動物が或るレトロウイルスに感染した。このウイルスはその哺乳動物の生殖細胞へと入り込み、遺伝子の一部となり、世代を超えて遺伝されるようになった。その遺伝子によって、哺乳類に胎盤が形成されるようになったのだと言う。卵でなく、赤ちゃんが生まれるようになったのは、ウイルスのお蔭なのである。

◆ウイルスにしてみれば、遺伝子に入り込んで、自分の遺伝子を残せるようになったのであるが、私たちの遠い祖先、そしてその子孫である私たちとすれば、ウイルスをDNA内に組み込むことによって、進化できたのである。

◆ヒトゲノム調査の結果、私たちのDNAのうち、ウイルス由来のもの(内在性レトロウイルス)は8%にも及ぶという。

◆ウイルスに感染すると、免疫の働きで抗体ができる。何と、この抗体ができるのも、内在性レトロウイルスによるのだそうである。

◆「大悪は大善の来るべき瑞相なり」(『智慧亡国御書』)の教えを思わずにはいられない。

◆原初的哺乳類は、身体にウイルスを取り込んだのみであったが、私たち人間は、智慧と慈悲とを加えて、新型ウイルスに相対する。更に大いなる瑞相にすべくんばあらず、である。

日蓮宗聖徒団首導 髙佐日瑞

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