今月の法話 令和4年の法話

今月の法話(令和4年4月)


前代未聞(ぜんだいみもん)大闘諍(だいとうじょう)一閻浮提(いちえんぶだい)(おこ)るべし。

 

『撰時鈔』建治元年5月。聖祖54歳。(105頁)

前代未聞(ぜんだいみもん)大闘諍(だいとうじょう)


石原莞爾をご存じでしょうか。満州に駐屯した日本陸軍の部隊である関東軍の作戦主任参謀で、満蒙領有計画を立案し、満州事変を起こした首謀者であるとされています。他方、日中戦争を世界平和のための戦争と捉えた平和主義の先駆者との評価もあります。

石原に『世界最終戦論』(戦後『最終戦争論』に改題)があります。上述の満蒙領有計画も、最終戦争思想に基づくものでしたが、それは、熱烈な日蓮主義者であった石原の、上聖文の独自の受容にもよるものでした。

「前代未聞の大戦争が世界中に起こるであろう」。祖文の意味は文字通りです。「其の時(中略)一切の万民皆頭を地につけ掌を合せて一同に南無妙法蓮華経ととなうべし」と続きます。すなわち、前代未聞の大闘諍の後、一国同帰の立正安国の時代が訪れる、と仰るのです。

このご文章については、日蓮大聖人さまがご在世中に起こることについて述べられたものである、とする解釈と、大聖人滅後の未来について予言されたものである、という解釈があります。

石原は後者の立場を採り、世界最終戦の後に本門戒壇建立の時が訪れ、真の世界平和が生み出される、と考えたのでした。

建治は、文永の次、弘安の一つ前の元号です。弘安二年の『四条金吾殿御返事』に「聖人の出ずるしるしには一閻浮提第一の合戦をこるべしと説かれて候にすでに合戦も起こりて候に、すでに聖人や一閻浮提の内に出でさせ給て候らん」などとあるごとく、上聖文は弘安の役を予言されたものであると受け止めるのが穏当であろうと思われますが、それにについては措きます。

肝心なのは、「前代未聞の大闘諍」は、「聖人の出ずるしるし」であり、その後「一同に南無妙法蓮華経ととなう」ようになる、と仰っていることでしょう。

しかし、これは、「前代未聞の大闘諍」が起これば、言うなれば自動的に聖人が出現し、一国同帰の立正安国が現出する、というのではありません。そうであるならば、軍事超大国になって、世界戦争を起こせば、立正安国四海帰妙が実現することになってしまいます。

以前、「大悪は大善の来るべき瑞相なり」(『智慧亡国御書』)の聖文をご紹介いたしました。大悪が起こった時、その因を究明し、課題を解決することにより、それを大善の瑞相へと変えて行く信行が肝要なのと同様に、そうした正しい信行があってこそ、「前代未聞の大闘諍」を契機として、立正安国が齎されるのです。

問われるのは、私たちの信仰です。

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