令和7年の月訓 首導月訓

首導月訓(令和7年9月)

◆佛教では、人生を「苦」と見る。此の世、すなわち娑婆世界を忍土とする。要するに、人生は、苦労するもの、この世は堪え忍ぶ世界、と見るのが、佛教の基本である。

◆佛教では、「苦」を四苦八苦に分類する。四苦とは生・老・病・死。四苦に怨憎会苦・愛別離苦・求不得苦・五盛陰苦を加えて八苦とする。

◆この八つの苦は、要するに、求不得苦(求めて得ざる苦)の一つに収斂すると考えることが出来る。死苦が、死なない命を求めて得られない苦であるように、他の苦も、人の、かくありたいという願いが叶わないことだと言えるからである。

◆してみると、求めさえしなければ苦は発生しないことになり、人生苦は解決する。いわゆる原始仏教は、この方法を実践して、苦からの解脱を企てようとした。

◆ところが、困ったことに、私たち人間が求めるのは生まれつきなのである。人間は、求めるように造られているのであるから、それが苦の原因であると言われても、では求めないようにしましょう、では済まないのである。

◆人間には、本能という生まれながらの強烈な欲望がある。中でも、物欲、性欲などは、なかなか制しがたいものである。世間に行われている悪というものは、そのほとんどが、物欲か性欲に原因していることは、誰もが知るところであろう。

◆だからといって、物欲や性欲がない人間ばかりになったとしたら、どうであろう。世の中の進歩は止まり、子孫が生まれなくなって、人類は滅亡することになってしまうことになろう。

◇人生苦の解決は、人間が求めていることの根本を成就させる道を見出すことでなければならない。その道こそが、日蓮大聖人の三大秘法であり、お題目の信仰なのである。

日蓮宗聖徒団首導 髙佐日瑞

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