首導月訓 令和5年の月訓

首導月訓(令和5年7月)


◆如来寿量品に、良医治子の喩が説かれている。父(仏)の不在中に誤って毒薬を飲み苦しんでいる子供たち(衆生)に対し、父が良薬(法華経)を与え救わんとしたが、正気を失っている子供たちは薬を服用しようとしない。

◆父は方便によって救おうとして使者を遺わし「父は死せり」と告げさせた。子は悲しみのあまり本心を取り戻し、良薬を服して病は全治した。このとき父は還り来る。すなわち、死したはずの仏の寿命の久遠なることが示される。

◆経には、二種の失心の子どもたちが説かれている。毒気が深く入って本心を失ってしまった子と、さほどではなく本心までは失っていない子である。毒気の浅い子は、父が方便を講ずる前に、薬を飲んで治る。

◆日蓮大聖人は毒気深入の失本心の子を私たち末法の衆生、良薬を妙法五字、使者を本化地涌の菩薩と解された。

◆良医は、衆生の救い主である仏であるが、良医は、治すのに良薬を以てする。良医がいなくても、この薬を飲めば病気は治る。良医がいても、薬を飲まなければ治らない。

◆久遠の寿命を持つ仏はもちろん有り難いのであるが、父なる良医がいても、薬を飲まなければ病は癒えない。薬を飲む以外に、病気を治す方法はない。良薬と良薬を飲む者との関係。そこにこの譬喩の肝心がある。この薬こそが、妙法五字なのである。

◆日蓮大聖人は、五字の仏種を以て、私たちのために大なる秘法として遺された。全仏教がこの五字に収めてある。五字の仏種によって、如来寿量品に於いて道破せられた仏が実物となって現れ来たるのである。

日蓮宗聖徒団首導 髙佐日瑞

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