聖徒団信仰Q&A

聖徒団信仰Q&A〈第32回〉「舎利弗(しゃりほつ)」

質問ちゃん
問 方便品に舎利弗という言葉が何度も出てきますが、何のことでしょうか。(福島県 60代 男性)
お答え上人
答 舎利弗はお釈迦さまの十大弟子の一人で、智慧第一と称された人の名前です(パーリ語でサーリプッタ)。
 お釈迦さまの弟子となる前には仏教とは違う教団の指導者でした。ある日、仏弟子である阿説示(アッサジ)に出会ってお釈迦さまの教えに感銘を受け、修行仲間であった目連(モッガラーナ)とともに二百五十人の弟子を引き連れてお釈迦さまに弟子入りしました。
お釈迦さまの弟子のことを「声聞」と言います。声聞とは「声を聞く者」「仏さまの教えを聞く人」という意味です。
 仏弟子の目標は阿羅漢(あらかん)になることです。阿羅漢とは、仏道修行の最高の境地であり、釈尊も阿羅漢でした。しかし、徐々に仏陀と阿羅漢とが区別されるようになり、釈尊以外の者は阿羅漢までで仏陀には成れない、と考えられるようになってしまいました。
 誰も成仏できなくなってしまった仏教を、誰もが仏となる仏教に戻したのが法華経です。
舎利弗は、仏弟子となって半月で阿羅漢となったと伝えられます。阿羅漢舎利弗は、声聞としての自分の修行は完成したと思っていました。ところが、法華経で、釈尊は「そうではない。菩薩として修行して、仏陀となることができる」と説かれるのです。
 そこで、法華経では、舎利弗の成仏が説かれることになるのですが、智慧第一の舎利弗ですから、法華経を理解して成仏したのかと思いきや、「舎利弗すらなお、この経においては信を以て入ることを得たり」と説かれています。すなわち、舎利弗でさえ智慧を以てしても法華経の真意の体得は不可能であり、智ではなく信によって成仏へと導かれたのです。これを「以信得入」と言います。
 日蓮大聖人さまも「仏道に入る根本は信を以て本とす」(『法華経題目鈔』)とお説きになっています。信心こそ仏となり、ご利益をいただく道なのです。

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