平成30年の法話 今月の法話

今月の法話(平成30年12月)


釈尊(しゃくそん)因行果徳(いんぎょうかとく)二法(にほう)妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)五字(ごじ)具足(ぐそく)す。我等此(われらこ)五字(ごじ)受持(じゅじ)すれば自然(じねん)()因果(いんが)功徳(くどく)(ゆず)(あた)へたまふ。

 

『如来滅後五五百歳始観心本尊鈔』

文永10年4月。祖寿52歳。全:p88 定:1巻p711

自然譲与(じねんじょうよ)

日蓮大聖人さまのお言葉の中の最重要句の一つで、古来「自然譲与段」と称せられている一節です。

妙法蓮華経の五字には、釈尊の因行と果徳、すなわち、お釈迦さまがなされた修行とその修行の結果として得られた覚りなどの仏徳が全て籠められている。私たちが妙法蓮華経の五字を受持すれば(妙法蓮華経に南無すれば)、自然にその功徳を譲り与えていただくことができる(成仏する)、という意味です。

要するに「お題目を唱えれば成仏する」ということで、唱題成仏を日蓮大聖人さまが保証されたお言葉なのですが、では、釈尊の功徳を譲り与えていただく、とはどういうことなのでしょうか。ここが肝心です。お題目を唱えても、私たちが覚りを開いたり、三十二相八十種好(眉間白毫相などの仏の外形的身体的な特徴)を具することができるのでないことは明らかなのですから、これをキチンと捉えておかないと、聖文が空文虚語となりかねません。

ここでちょっと寄り道。『諸法実相鈔』を見てみましょう。
「釈迦、多宝の二佛と云も妙法等の五字より用の利益を施し給ふとき、事相に二佛と顕はれて宝塔の中にしてうなづき(点)合ひ給ふ。かくのごとき等の法門、日蓮を除きては申し出す人一人もあるべからず。」(三九〇頁)

釈迦・多宝の二仏が、妙法蓮華経の五字から「用(ゆう。働き)の利益」を施してくださる、とあります。どうやら「因果の功徳を譲り与」えてくださる、ということは、仏用のご利益を頂戴できる、ということのようです。

さて、では仏用とは何でしょうか。仏さまの働き、なのですから、仏さまの行い(仏業)から生み出されるものでありましょう。そして、仏業と言えば、「礼拝文」の「仏願満足仏業成就」を思い出していただけるかと思います。では仏願とは。言うまでもありません、一切衆生の救済、私たち凡夫をお救いになることです。衆生済度のための仏用こそが仏願仏業です。私たちはそのご利益を頂戴するのです。

「利益」というと、他から何かを貰うのことであると考えがちですが、そうではありません。ご守護が得られるということです。「南無妙法蓮華経と申さば必ず守護し給ふべし」(『祈祷鈔』七三一頁)。

もう一度「礼拝文」を。「仏願満足仏業成就の至誠を現はし奉らん」。私たちも仏願仏業をするのです。私たちが仏願仏業をすることへのご守護、私たちを仏願仏業に至らしめるようなご守護。それが仏用のご利益です。

このご守護は先引の通り「事相に」と顕われます。事相に、とは、現実に、ということ。ご守護は現実に顕れるのです。

九識霊断法も倶生霊神符も、「譲り与え」ていただいた「因果の功徳」であり、事相に顕れた妙法五字の「用の利益」の賜物なのです。

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