首導月訓 平成29年の月訓

首導月訓(平成29年12月)

 

◆幸福は孤独では得られない。家庭の中で、夫だけが幸福で妻は不幸であるとか、妻だけ幸福で夫は不幸であるとか、親は幸福だけれども子供は不幸であるとか、子供だけ幸福で親は不幸であるとか、そういうことはないのである。もしあったとしたら、それは実は最も深刻な不幸の事例である。

◆妻が夫の不行跡に悩んだり、親が子の不良を嘆いていることは、世間によくある。昨今は、その逆の場合も珍しくない。では、不行跡をしている当人たちが幸福であるのかと言えば、もちろんそうではない。仮に本人が幸福であると感じているにしても、大きな勘違いをしているだけのことである。

◆幸福は円満な関係の中に成立する。これは夫婦や家庭の間ばかりではなく、すべての人の関係においてもそうであるし、人間関係ばかりではなく、国家間であったり、自然に対してであってもそうである。この世の中の万事は、円満な関係が成り立たなければ円滑に進まず、幸福にはならないのである。

◆そうした円満な関係は、自分を利することと他を利することとが衝突しないようにすることで成立する。お互いが満足する関係である。その関係を作る方法は愛である。親子の愛、夫婦の愛、家族の愛、主従の愛、師弟の愛、朋友の愛、同胞の愛、人類愛。愛は無限に広がって行く。

◆こうした愛は、同じ愛の心が、状況によって形を変えるだけで大本は同じである。すべては寿量ご本仏の生命の現れなのである。人間性とは、愛の範囲の広狭である。愛の範囲が広いほど、仏の心に近づくことになる。

◆自身の幸福を願うのであれば、より大きな愛を持つのが肝要である。拝むばかりが信仰ではない。寿量ご本仏の大愛を生活の中に現すことが、真の信仰である。

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