首導月訓 令和元年の月訓

首導月訓(令和元年7月)

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◆仏教では、四つの恩を説く。一に父母の恩、二に国王の恩、三に衆生の恩、四に三宝の恩である。

◆父母、国王、三宝の恩に比して、衆生の恩は判りにくいかもしれない。衆生の恩は、もともと間接的に蒙る恩寵だからである。

◆災害被害者の方々を義援し、支援物資を送ったりすることは、誰にでも解りやすい互恵共助である。しかし、こうしたものだけが衆生の恩なのではない。

◆そもそも社会というものは、分業によって成立しており、そのこと自体、互恵共助の意味を持っているのである。自らは耕さずして食べ、自らは織らずして纏い、自らは建てずして住む。人の生活とは、自分以外の誰かのお蔭をいただいて成り立っている。これに勝る恩義はない。

◆自らもまた、社会の一員としての業務を受け持ち、それによって得た報酬で物を購うことは、互恵のルールを守ることになるのである。

◆しかし、ここに衆生恩の意識を欠いていると、自己の利益にのみ目が眩み、他人の損失を顧みることがなくなってしまう。役人が怠け、工人が手を抜き、商人が不正を売り、甚だしきは法を破って罪を犯し、社会を不安に陥れるような輩が現れることになる。

◆日蓮大聖人さまは「一切衆生の恩を報ぜよとは、されば昔は一切の男は父なり、女は母なり、然る間、生生世世に皆恩ある衆生なれば皆佛になれと思ふべき也。」とお示しになっておられる(『上野殿御消息』)。

◆大聖人さまのご教示の如く、一切衆生に対し、父母に対するような報恩をなすようになれば、社会の在り方がガラリと変わる。

◆社会の変革というと、往々にして政治と経済にばかり目が向きがちであるが、社会を作っているのは人であり、人を動かしているのは思想であり、思想を形づくっているのは精神であることを忘れてはならない。

◆私たち一人ひとりが、社会人として自己の精神革命を成し遂げれば、この世は自ずから浄土に変わるのである。

日蓮宗聖徒団首導 髙佐日瑞

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