首導月訓 令和4年の月訓

首導月訓(令和4年7月)


◆釈尊滅後の原始仏教の思想は、諸法無我の空の理に融け込み、業から解放され、再び人間に生まれて来ないようにすることを修行の目的とした。言うなれば、迂曲した人類絶滅運動を展開したのであった。

◆このような思想が仏陀釈尊の理想であるはずがないとするのが大乗仏教の考え方である。自然、原始仏教の担い手である声聞・縁覚の二乗を排斥することとなった。

◆しかし、釈尊こそ最初に空の理を証したお方であり、全ての人間の執着迷妄を断じつくして、解脱者となられたお方であるということは、動かし難い事実であった。仏陀とは、人間の苦因を清算し、結業から解放された聖者の尊称に他ならない。

◆しからば、釈尊と同じ境地を踏もうとしている二乗を糾弾することは、釈尊を批難することにならざるを得ない。仏弟子である声聞たちは、恩師釈尊に指導された通りの仏道を如法に相続したのであり、むしろ大乗仏教こそ、歴史上の釈尊を粉飾して神格的な仏陀を創作し、阿羅漢の出家道の他に菩薩道を開拓したのである。

◆釈尊の仏法を如実に求めるならば、大乗仏教よりも原始仏教にあるとする議論は、起こるべくして起こっているのであって、現に学問の世界では、それが常識となっている。

◆もし法華経という経典が存在しなかったならば、神話の粉飾や教理の誇張を剥ぎ落とされる羽目に陥っていたかもしれぬ。

◆大乗の思想は、法華経を以て結論に達し、日蓮仏教によって、その実践形態が完成された。すなわち、上述の如き疑問に釈然たる解決を与え、釈尊の仏教が仏滅後もなお成長を続け、全き仏陀の悲願が人類文化の中に大いなる花を開き、人間の理想の大いなる光明となって、その前途を照らしていることが判るのである。

「前四十余年と後八年との相違をかんがへみるに、(中略)二乗作仏・久遠実成なるべし。」(『開目鈔』)

日蓮宗聖徒団首導 髙佐日瑞

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