紙上法話

写経はいかがですか

五種法師の修行



 写経ブームが静かに続いているようです。
 聖徒の皆さまから、日蓮大聖人さまの教えに基づいた写経がしたいとのご要望をいただき、それに応えて考案されたのが聖徒団オリジナルの写経本「積功累徳(しゃっくるいとく)」です。
 法華経の法師品には、五種法師(ごしゅほっし)と呼ばれる修行が説かれています。
 すなわち、受持、読、誦(じゅ)、解説(げせつ)、書写の5つです。
 受持とは、経を信じて持(たも)つことです。法華経の修行の総体が経を「受持」することなのです。読以下は、「受持」の具体的な形、別行です。
 「読」とは、文字通り経文を読むことです。お経本を見ながら、それを口に出して読むことを申します。
 一方、「誦」とは、経文を暗誦することです。お経を覚え、お経本を見なくても唱えられるようにすることです。
 「解説」とは、経説を理解して教えを説くことです。
 そして、「書写」とは、経文を書き写すこと、写経することです。
 五種法師の修行によって、眼(げん)・耳(に)・鼻・舌・身・意の六根が清浄となり、成仏できると法華経には説かれています。
 もちろん、日蓮大聖人さまの教えの根本は、唱題による即身成仏にあります。
 それならば、唱題以外の修行は不必要ではないか、と思われるかもしれませんが、それは違います。

力あらば一文一句なりとも


 例えば『諸法実相鈔』を見てみましょう。
「行学の二道をはげみ候べし。行学たへ(絶)なば仏法はあるべからず。我もいたし人をも教化候へ。行学は信心よりをこるべく候。力あらば一文一句なりともかたら(談)せ給べし。」
 信心ある者は、その能力に応じて、さらに、一文一句を修行することを勧めておられます。
 大聖人さまのご在世の時代、文字を書くことができるのは、ごく限られた人たちでしたが、現代では、読み書きのできないかたはほとんどおられません。
 つまり誰もが「力あらば」の条件に適うようになっているのです。
 すなわち、正行としての唱題に、助行として、読誦行や写経を加えて頂ければと思います。
 かつて、印刷技術が未発達であった時代には、経本は書写によってしか伝えることができませんでした。現代では、パソコンとプリンターによって、経典を自分で印刷することすら簡単にできるようなりました。
 しかし、自らの手で文字を書くことが少なくなっている時代であり、クリック一つで経文を印刷することができる現代だからこそ、自らの手で写経することの意義と功徳が高まっているのではないでしょうか。
 「積功累徳」は、正しい日蓮仏教の教えに基づき、方便品、自我偈、そして聖徒団独自の「懺悔文(さんげもん)」が収められた写経本です。それを書写することによる功徳は、まさに積累するものとなりましょう。
 お納めいただいた「積功累徳」は、毎年の聖徒団全国結集大会で納経式を行い、大聖人さまにご奉告した上で、聖徒団総本部幸龍寺に納経されています。
 写経なんてやったこともないし、どうしたらよいのか分からない、という方もいらっしゃるかもしれませんが、「積功累徳」は上からなぞり書きするだけの易しい仕様になっています。
 どうぞ、第60回記念の身延大会を目標にして、まずは一巻、お始めになってみてください。
 どなたか供養したい方や、何かご祈願のある方は、そのことを念じながら写経していただければ、きっとよい供養になり、願いも叶うことでしょう。
 すでに「積功累徳」を書き上げたことのある方には、「力あらば」二巻目三巻目へと歩みを進めてくださいますようお勧めいたします。

-紙上法話

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