今月の法話 平成31年の法話

今月の法話(平成31年2月)

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(はる)(はじめ)御悦(およろこび)()(はな)のさくがごとく、(やま)(くさ)生出(おいいづる)がごとし。(われ)(ひと)悦入(よろこびいり)(そうろう)

 

『春初御消息』

弘安5年正月。祖寿61歳。全:p1055 定:2巻p1907

(はる)(はじめ)御悦(およろこび)

 2月に、新年のお言葉とは、何と間の抜けたことでしょうか。

実は、そうでもないのです。

日蓮大聖人さまの時代は、太陰暦(太陰太陽暦)が用いられていました。月の満ち欠けの周期を基にして「月」を決める暦で、現在一般に使われている暦(太陽暦=グレゴリオ暦)と比較すると、おおよそ一箇月余り後ろにズレています。

今年であれば、陽暦の2月5日が陰暦の元日となります。2月4日が立春ですから、新年はまさに春なのです。

初春、新春などの表現は、こうした事情から生まれました。現代では、新年と新春がほぼ同義に用いられていますけれども、元来は、旧年中に春になっていて、年が改まって新たに迎える春、ということでした。

さて、木に花の咲くように、山に草が生えるように、春の初めは芽出たいので私も皆も悦んでいる、というのが冒頭に掲げた聖文の表面上の意味ですが、もう少し深い意味合いがあります。

『秋元殿御返事』に「正月は妙の一字のまつり」(1113頁)とあります。

「妙の一字のまつり」とは何でしょうか。

『法華題目鈔』に「妙とは蘇生の義なり。蘇生と申すはよみがえる義なり」(349頁)と明かされています。

つまり、正月とは、蘇生の祭礼なのです。

蘇生、蘇りとは、生き返りです。生命を取り戻すことです。

生死には、刻々の生死、日々の生死、年々の生死、一生の生死、永遠の生死の五種があります。正月は、もちろん、年々の生命の蘇りです。

新年とは、いったん終わりを迎えた年々の生命が新たに始まることであり、木に花が咲き、山に草萌える、生命の季節である春を迎えるがごときことです。一年の生命が新たに蘇るのです。この、生まれ変わりながらいのちが続いて行くことを悦び、そのことを寿ぐのが、正月=新春です。だからこそ悦び入るのです。

法華経の教えは、ご本仏の寿命が無限であるという教えを中核とします。常住不滅の如来です。常住不滅の如来とは、常に新しい生命体をもって、新陳代謝しながら恒存している、人類全体の総和の人格の上に久遠の如来を仰ぐことです。換言すれば、如来の寿量が無限であるということの正体は、異体同心の総和の永続であり、生まれ変わりの新陳代謝という生命活動の持続なのです。

この大いなる全体生命に与えられた宗教的な表現が、妙法蓮華経如来寿量品の久遠実成であると言ってよろしいでしょう。

かてて加えて、『春初御消息』は、日蓮大聖人さまがそのご生涯の最後にお迎えになられた新春にしたためられたものとなったことを思う時、右聖文は一層味わい深いものとなりましょう。

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