聖徒団信仰Q&A

聖徒団信仰Q&A〈第48回〉 「御遺文」②

質問ちゃん
問 日蓮大聖人さまの御遺文について教えてください。(埼玉県 60代 女性)
お答え上人
 千葉県市川市の大本山中山法華経寺の聖教殿には、多くの日蓮大聖人の真蹟遺文が恪護かくごされ、『立正安国論』と『観心本尊鈔』が国宝に、それ以外も重要文化財に指定されています。
 大聖人は、度重なる法難の中、この地で、富木常忍ときじょうにん太田おおた乗明じょうみょうの外護を受けられました。
 大聖人の滅後、常忍は出家して日常と名乗り、自邸に法華寺を開きました。また、太田乗明おおたじょうみょうの子の日高は、日常没後、法華寺第二世となり、父の屋敷を本妙寺としました。戦国期に、法華寺と本妙寺が合併して法華経寺となったのです。
 大聖人は、大檀越である富木氏とその妻尼御前あまごぜんに、多くの書状を送られ、現存するものは檀越の中で最多です。日常は、自身への書状以外にも、大聖人の御遺文を各所から集めて整理し、『常修院じょうしゅういん本尊ほんぞん聖教事しょうぎょうのこと(常師目録)』という目録を作成し、「置文」を定めて、御書・聖教を門外不出としました。
 第三世となった千葉胤貞の養子の日祐は、義父胤貞の政治力と経済力を基に法華経寺を発展させ、『本尊聖教録ほんぞんしょうぎょうろく』を作成して法華寺分・本妙寺分と、彼自身の蒐集になるものすべてを合せた総合図書目録とし、後代に備えました。
 前回申し上げた通り、大聖人の御真蹟が他宗の祖に比して多く現存しているのは、このような日常などの功績が大であると申せましょう。
 ただし、多くの真蹟が伝存していることが、かえって御遺文研究を遅らせる一因となり、真蹟が伝存していない御遺文を不当に軽視する傾向が一部にあることにも留意が必要です。
 門流の正当性を証するためなどの目的での後世の偽作が明白なものもありますが、写本遺文でも、多くは大聖人御真作の蓋然性を有しており、また、仮に御真作でなくとも、程度の差こそあれ、大聖人の思想の幾分かを継承していると考えられますから、しかるべく尊重されなければなりません。
 近年では、コンピュータを用いた文体解析など、新しい御遺文研究の方法も模索されています。

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