聖徒団信仰Q&A

聖徒団信仰Q&A〈第11回〉「行道廟(ぎょうどうびょう)」

質問ちゃん
問  4月号の教学研究室の記事中の「行道廟」について教えてください。(東京都 70代 男性)
お答え上人
答 4月号6面の小さな記事に、特に霊断師の皆さんから反響がありました。
「行道廟」は、本所善行院にある創祖行道院日煌聖人の皇道佛教行道会時代の貴重な遺構です。
江戸幕府は慶長17年(1612)に禁教令を発出しキリスト教を禁止しました。外国との交流・貿易を制限する「鎖国」政策の一環ですが、キリシタン禁圧の徹底を図るために、寛永期(1624~44)には寺請制度が始められました。寺請制度とは、その頃、成立しつつあった特定の寺院が特定の檀家の葬祭を永続的に担当する寺檀関係を基礎とし、檀家の人々がキリシタンでないことを証明する制度です。この制度によって、寺院と檀家の関係が固定化され、寺替・宗旨替が原則として認められなくなりました。
「寺院はいかに布教に努めても、それに依って一軒の檀家も増える見込がないと同時に、いかに布教をなげやりにしていても、それがために檀家が一軒も減ることもない。そうなって来ると、精神指導の方面は次第に廃れゆき、寺院はただ葬式や法事を営む、宗教行事の機関に過ぎないものとなってしまった」(創祖著『十字佛教』)。
寺院と檀信徒との関係は、かくの如きものであってはならないとお考えになった創祖は、「○○家代々」の墓廟に基盤を置く檀家制度の行き詰まりをも見据え、同信同行の者が先達を供養するお墓「行道廟」を考案されました。
折からの戦渦の日々にあって、いつ何時、誰がどこでどうなるか分からないという状況下でもあったことから、建立開眼の際には、奉讃者の毛髪を埋葬したそうです。

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