首導月訓 平成28年の月訓

首導月訓(平成28年6月)

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◆人間は欲の塊である。性欲があるから子孫が繁栄する。物欲があるから家業に精をだす。名誉欲があるから尊敬される人間になろうとする。もし欲がなければ人類は絶滅するし、文化も産業も興らない。礼儀も善行も姿を消すであろう。しからば、欲こそ人間を人間たらしめる力である。それが悪いものであろうはずがない。

◆ところが欲のためにしくじる人間が、世の中には非常に多い。食欲に走って健康を害し、性欲を濫費して家庭を破壊する者、物欲のために人に嫌われ爪弾きになる者、名誉欲のために他者を陥れ、罪を作る者は、決して珍しくない。欲は、人間に是非必要であるが、用い方が悪いと害がある。薬に適量があるようなものである。

◆あいにく、欲には歯止めがない。自然に任せると大抵は行き過ぎが起こってくる。それを調節するのが人間の智慧である。智慧は心の光である。欲のものは本能がつかさどり、心の闇を照らす光は理性がつかさどる。両方とも心の動きであるから、欲を用いる場合には、童子に智慧をも使う仕組みになっている。

◆智慧は学問と経験で作るものであるが、人間は不思議に理よりも情を好むものである。情には走ると失敗を生みやすい。情に走ってもよいが、願わくは純情と至情に走りたいものである。純情とは混じり気のない愛、至情とは犠牲を厭わぬ道念である。この二つは信より生まれる。

◆「信は道の源、功徳の母」という。日蓮大聖人は、「信を以て慧に代う」と仰った。信は情の極まったもので、一切を愛の光に包む仏心の働きである。この仏心こそ、私たち一人ひとりの自分自身の正体なのである。

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