聖徒団信仰Q&A

聖徒団信仰Q&A〈第33回〉「お香①」

質問ちゃん
問 お香について教えて下さい。(東京都 40代 女性)
お答え上人
答 法華経法師品には十種供養が説かれます。これは、経巻を仏様のごとく供養する十の方法で、その中に「華香・抹香・塗香・焼香」があげられています。
 十の中の四が「香」なのですから、供養の方法として如何に香が重んじられているかを知ることができます。
 なお「華香」は生花の香りを供養すること、「抹香」は香木を粉末状にしたもの、「塗香」は香を身体に塗って清めること、「焼香」は香を焚いてする供養のことです。
この他、仏教では一般に、五種供養として、塗香・焼香・華鬘・飲食・灯明の五つを上げ、これに閼伽(水)を加えて六種供養としたりします。
熱帯の国インドでは、古代から臭気に対する配慮がなされ、香に対する関心が高かったようです。
 香は「仏使」であるといわれ、献香は最上の供物とされてきました。
 仏家ではありませんが、中国の宋代を代表する詩人で書家である黄庭堅(黄山谷)には、「香十徳」という詩があり、「感格鬼神 清浄心身 能除汚穢」などと詠まれています。「感覚が神仏のように研ぎ澄まされ、身心を清らかにし、よく穢れを取り除く」というわけです。
 法師功徳品や常不軽菩薩品に、法華経を受持することによって六根清浄となる(人間の認識器官が清浄となって研ぎ澄まされ仏に近づく)功徳が説かれますが、香にはこれを助ける働きがあると言えましょうか。
新日蓮教学の「整識観」では、六根という認識器官による認識である六識のうち、眼耳鼻舌身の五識の感覚は、生命運営の二大目的である生存と生殖に集約するものと考えます。
 香臭の知覚である鼻識は、生存と生殖の官能を調整する、つまり、香臭は主に食欲と性欲を増減する効果が高いのです。「お香」は、おそらく両者を低減せしめ、心を落ち着かせる働きがあるものと考えられます。 〔続〕

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