令和2年の月訓

首導からのメッセージ 「ご本佛からのはげまし いまこそ総和を」

「ご本佛からのはげまし いまこそ総和の秋」

既に御案内の通り、日蓮宗聖徒団全国結集身延大会第55回記念大会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、十月に延期といたしました。

心待ちにしてくださっていた聖徒の皆さま、また、参加準備を進めてくださっていた聖徒団長・霊断師各位には、心からお詫び申し上げ、是非十月の大会へのご参加をお願いいたします。

我が国のみならず、この度の新型感染症では、本日までに全世界で百五十万人を超える方々が発症し、八万余の方々がお亡くなりになっています。亡くなられた方々のご冥福とともに、加療中の方々、そのご家族の方々に心よりのお見舞いと、一日も早いご快癒をお祈り申し上げます。また、厳しい状況の下で治療に当たられている医療関係の方々など、対応に盡力されておられる関係各位に深く敬意を表すとともに、一日も早い新型感染症の終熄を祈念するものです。

日蓮大聖人さまは、『立正安国論』で、薬師経の七難を説かれ、このまま国が正法に背き続けるならば、未だ興起せざる他国侵逼、自界叛逆の二難が必ず起こるであろうことを予言されました。この七難のうち、既に起こっているとされた災難の筆頭が、実は人衆疾疫難、すなわち感染病であったのです。

人類の歴史は、感染病との戦いであるとも評せられるところです。私たちの祖先は、不安におののきながら、この見えない敵に立ち向かい、それを乗り越えて、私たちに命を繋いでくださって来られたのです。

仏教は慈悲の教えです。慈悲とは、他者の喜びをともに喜び、他者の悲しみをともに悲しむ心、共感する心のことであり、そこから抜苦与楽の行いをなそうとする心です。

感染症ということに即して申し上げれば、例えば、思いもよらず罹患してしまった方々とその家族の方々の身になって考え、行動することであると申せましょうか。ところが、現実には、病者を排除したり差別したりして来た歴史が伝えられており、この新型感染症も例外とはなり得ていないようです。

今般の新型感染症は、人びとが狭い地域の中でのみ生活していた時代は既に終わり、日本国内はもちろん世界中の人びととの交流交易の中で私たちの生活が成り立っていることを教えてくれています。マスクが足りないとなった時、まさに新型感染症が発生し、マスクを最も必要としている隣国から、これまで半分以上を輸入していたことを初めて知った方がたくさんおられることでしょう。思いも掛けないところに影響が出て、こんなにも世界は繋がっているのかと改めて思わせられた例は、数え上げればきりがないほどです。

そもそもこの世の中は、分業によって成り立っており、そのこと自体が、互恵共助の意味を持っています。自らは耕さずして食べ、自らは織らずして纏い、自らは建てずして住む。人間の生活は、自分以外の誰かの御蔭を頂いて成立しています。そのことを知り、自らもまた、社会の一員としての、互恵のルールを守ることが肝要です。

昨四月七日、政府によって緊急事態宣言が発せられました。本四月八日が教主釈尊の降誕会、創祖行道院日煌聖人のご命日であることを思う時、そこに深い意味合いを感じさせられます。 日蓮大聖人さまは、『師子王御書』に「佛法を信じて今度生死をはなるゝ人の、すこし心のゆるなるをすゝめむがために、疫病を佛のあたへ給。はげます心なり、すゝむる心なり」と書かれておられます。

現在、全国の聖徒団で盛運祈願会などの法要の休止が余儀なくされていることと存じます。人と人とが物理的に距離を取ること、密に接触しないことが求められています。しかし、どうか、こうした閉塞的な状況をむしろ前向きに捉え、佛さまの「はげます心」「すゝむる心」と受け止めてください。今般の苦難を、いま一度、人と人との繋がりによる社会の有り様を捉え直し、日ごろ当たり前であると思っていることが実はどれほど有り難い佛縁によるものであるのかに思いをいたし、慈悲の心、他者と共感する心を以て見つめ直す機会としていただければと思います。
その先にこそ、聖徒団の総和の大理想の旗を掲げる秋(とき)を迎えることが出来るのです。
南無妙法蓮華経

令和二年四月八日
日蓮宗聖徒団首導
日蓮宗霊断師会相伝宗主
髙佐日瑞

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