首導月訓 令和6年の月訓

年頭所感(令和5年1月)

闇を照らす世界平和の祈りを


日蓮宗霊断師会相伝宗主
日蓮宗聖徒団首導

髙佐日瑞

明けましておめでとうございます

 令和6年の年賀のお祝詞を申し上げますとともに、全国の聖徒各位並びに霊断師各聖の本年のご多幸と各聖徒団のますますの隆昌を心よりお祈り申し上げます。

さて、ウクライナ戦争が長期化するなか、中東でまた戦火が点ってしまったことは、昨年の国際的なニュースで、最も気掛かりなできごとと申せましょう。

 10月7日、パレスチナのガザ地区を支配するハマスによってイスラエルが攻撃され、武力衝突が始まってしまいました。小稿執筆時点で、停戦の見通しは全く立っておらず、イスラエルはハマスを殲滅するまで戦うと宣言しています。

 第二次世界大戦後、イギリスがパレスチナ地区の委任統治を終えるに際し、国連ではパレスチナ分割決議を採択し、ユダヤ人国家、アラブ人国家、国際管理地区への分割を決しました(1947年)。翌年、この決議に基づきイスラエルが建国されましたが、これを認めない近隣アラブ諸国は宣戦を布告し、第一次中東戦争が勃発します。その後、数次にわたって戦争が繰り返されてきています。

 この間、イスラエルがガザ地区、ヨルダン川西岸、ゴラン高原での占領地を徐々に拡大して来ており、今次の紛争も、ガザ地区の完全統治を目指すものとも言われています。

申すまでもなく、中東紛争は、ユダヤ教徒とイスラム教徒の対立という宗教問題を根源としています。パレスチナの地にあるエルサレムは、『旧約聖書』では、最後の審判の日に神が現れ、死者がよみがえる場所とされ、イエス・キリストの処刑の地であり、またムハンマドが神からの言葉を授かったといわれているなど、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地があるのです。

およそ2000年前、パレスチナにはユダヤ教国があったのですが、ローマ帝国に滅ぼされ、ユダヤの人々は世界中に離散し、迫害を受けてきました。ユダヤ教徒による国家を作りたいという悲願の結実がイスラエルでした。

しかし、そのイスラエル建国の際、当時パレスチナの地に根を下ろしていた70万の人々が故郷を追われてしまったのです。

 中東紛争は簡単には解決しないでしょう。ユダヤ教徒もイスラム教徒もお題目を唱えるようになれば解決する、というようなことも、今は申し上げずにおきます。

 しかし、中東紛争のニュースを耳にするたびに、私たちは、「立正安国」という日蓮大聖人さまの教えを思わずにはいられないはずです。

 立正安国を誓い直し、世界の平和を祈り続ける一年を、皆さんとともに過ごしたいと念じております。皆さんが、お釈迦さまや日蓮大聖人さまと異体同心し、同信同行の聖徒を一人でも増やし、ご自身の信仰を深めて、幸せな人生を歩まれる年となることを祈念申し上げて、年初のご挨拶といたします。

-首導月訓, 令和6年の月訓

error: Content is protected !!

Copyright© 日蓮宗霊断師会-公式サイト , 2024 All Rights Reserved.